長きに渡り弊社のお力になって頂いているK様。今回、北館と南館の2棟の新築と庭園工事という大変貴重でやりがいのある御仕事をお任せ頂き心より感謝いたしております。K様のこだわりの中には「和」のイメージがありました。無垢材を表に出すことで木目の美しさ、木のぬくもりを感じることができます。今回の骨組みについては、木材加工業者とも何度も打合せを行い、加工前には長野県まで足を運び工場を視察いたしました。また和の中にシャンデリア照明等を設置することで「和洋折衷」な雰囲気を醸しだしております。
 

▼門を開け敷地内に入るとすぐに、伝統的な意匠の光悦寺垣が目に入ります。代表的な「すかし垣」で庭の雰囲気を豊かに演出します。また、このK様邸の光悦寺垣はエイコーのガーデニングカタログにも掲載・紹介されています。
玄関へ続くアプローチは趣のある洗い出し仕上げ。



▼庭木戸は全て檜を使い作成いたしました。屋根は檜皮葺(ひわだぶき)。屋根葺手法の一つで、檜の樹皮を用いて施工します。 日本古来から伝わる伝統的手法で、世界に類を見ない日本独自の屋根工法です。多くの文化財の屋根で檜皮葺を見ることができます。

▼玄関から続く20メートルの川。季節を彩り情緒豊かな景観をもたらします。

▼北館と南館の間にある中庭の枯山水(かれさんすい)。枯山水は水のない庭のことで、池や遣水などの水を用いずに石や砂などにより山水の風景を表現する庭園様式。白砂や小石を敷いて水面に見立てることが多く、橋が架かっていればその下は水になります。石の表面の紋様で水の流れを表現することもあります。

▼大空間を演出するために設けた梁「和美丸太」が特徴。3間のスパンを飛ばすには普通の梁では至難であり、それを大黒柱の「槇の樹」が支える構造となっています。この大黒柱は棟梁自ら九州まで捜しに行き、選んだ1本。天井には木目の美しさを味わえるように桧の羽目板仕様としています。天井の施工だけで実に2週間掛かり、玄関を開けた時に、樹の香りが味わえるよう空間を演出しました。

▼空間にテーブルを合わせるのではなく、テーブルに空間を合わせた設計。堀炬燵仕様とし、フローリングの下には床暖房が入っています。


▼約30帖のLDK。登り梁にすることで天井部分をすっきり見せる仕様に。吹抜け部から明かりを取り込めるよう設計し、それをアクリルの板で光を和らげる演出としました。床は高級家具にも使われている「ブラックウォールナット材」を使用。適度の油分も含まれており、つやがあり、住み続けることで経年変化を楽しむこともできます。また床暖房も設置しているので、冬場は足元から暖かさを楽しむことができるよう配慮しています。


▼K様がこだわった1つに「R壁が欲しい」というものがありました。今回は北と南に建物を配置し、それを結ぶ渡り廊下でその要望を実現いたしました。

▼オーダーメイドの本棚。

▼水廻り